どうしようもないこの気持ちを。
※閲覧注意。自己責任でお願いいたします。
お湯のはられた湯船の中で、ノアは顔を赤くさせていた。
原因はのぼせだけでは無い。脱衣所に残されていたアレを見てしまったから。彼女の、エリスの下着だ。真っ白な下着。彼女の大切な所にちょっと前まで触れていたと考えただけで、脱衣場でノアのそれは反応してしまった。
慌てて洗濯かごに白い布地を戻して、浴場へと入ったのが十分ほど前。
しかし今現在もまだ煩悩は消えない。いつもはなるべく考えないようにしている事実が頭をチラついて離れてくれない。
今ノアが浸かっている湯船は彼女が浸かったものだ。シャワーの前に置かれた小さな椅子もエリスが使ったかもしれないし、石鹸の近くのスポンジも、使われているかもしれない。
(ダメだ! 考えるな! エリスに失礼だ!)
ちゃぷりと音を立てて鼻のところまでノアはお湯に無理やり浸かった。しかしそんなに深くない浴槽に入るこの格好はまるで――
(性行をする時みたいだ……あの本に書いてあったやつ……騎乗位とか言うやつをする時、男の方がこんなポーズしてた……)
これでエリスがノアの腰を跨いでくれれば完璧だ。元気なノアのソレの上にエリスが腰を落としてくれれば。
『ノア、気持ちいい?』
そっと腰を落としながら幻影の彼女は眉間に僅かに皺を寄せ、ノアに聞いてくる。ノアの答えは決まっている。
「すごくいい、エリス……」
自らの手で固く大きくなったそれをすく。お湯がちゃぷちゃぷとゆれる。
『ノア、ノアっ……早くいつもみたいにして、沢山私の中に出して……』
「だめ、ダメだエリス……ちゃんとベッドで……」
ノアの指が自身の先端を掠った。ビクリと身体が跳ねて、押し殺すことが出来なかった艶っぽい声が唇から漏れる。この指の刺激は全て彼女が与えてくれたもの。そう想像して、続けてゆっくりと裏側を撫でた。
「ああっ……!だめ、だめだよエリス……っ」
根元を親指と人差し指の輪で締める。上下に擦ってエリスがしてくれているのだと妄想して。同時に反対の手で境目を撫でる。2つの刺激に達するのも時間の問題だった。
「っあっ……あっ……んっ」
(どうしよう……奥、絶対気持ちいい……エリスの奥まで入れて、沢山して、子供が出来ちゃったら。僕との子供が……すごくいい……エリスとお母さんとお父さんになるの、すごく、っああ……も、だめ、)
湯船の中に白濁が広がる。
「はぁ……はぁ……、もっと」
ざぶんと湯船から上がりノアは三つ並んだうちの一つ、水色のスポンジを掴む。石鹸を急いで泡立て未だ硬さと大きさを保つそれにあてた。
「エリスっ……エリス……っ」
良くない事とはわかっていた。でも彼女がこれで素肌を、もしかしたら秘所を洗ったと思うと無理だった。
間接的にだがエリスの肌に触れている。それだけで幸福感で満たされる。
臨戦態勢のソレは基本、夫が妻にしか見せないもの。
スポンジでかたく熱くなった雄を優しく擦る。
「エリスっ……赤ちゃん出来ちゃうね……僕との……はぁ……僕との赤ちゃんが……」
エリスと性交して彼女を妊娠させてしまう妄想を、ノアはもう何度ここでしただろう。
妄想の中でノアとエリスはもう夫婦で。式もあげている。
初めての性交の妄想をはじめ、二度目、時には二人目を望んで、仲直りの、ヤキモチを妬いたノアが強引にするもの、媚薬を飲んでしまっての激しいもの、野外で、隣の部屋のサラにばれないように声を押し殺して……数えればキリがない。
数は多いが全てに統一してるのは彼女とは同意の上だということと、幸せで甘いものだということ。
「うっ……」
スポンジの上でノアの男根が弾ける。石鹸と粘り気のある精が混ざって、手首まで汚した。
「早く……早くエリスとちゃんとしたい……でもその前に……」
現実へと引き戻されノアは呻く。ノアももう三か月もすれば十六。限界だった。大好きな少女と一つ屋根の下で生活し続ければいつか彼女への想いが溢れてしまう。
「ちゃんと独り立ちして、告白しなきゃ……早くここを出ないと……」
想いが溢れて、婚前に彼女を孕ませてしまわないように。大切な大切な彼女を傷つけてしまわないように。
あと少しで学校も卒業する。就職を機に家を出たい、そう相談すれば不自然ではない。
蛇口をひねり湯を桶に溜める。各所についた白濁を洗い流し、スポンジも軽く洗った。もうこれをエリスに使わせることは流石に出来ない。
「僕は最低だ」
重くのしかかるのは罪悪感と嫌悪感。ノアは桶の湯を頭からかぶると、風呂の栓を抜いた。
またサラに水が勿体ないと怒られてしまうかもしれない。しかし汚れた湯に彼女を浸ける訳にもいかない。
せめて次回からは入浴の順番を変えてもらおう。
その決意がノアの新たな悩みを生むことになるのはまた別のお話。
end
どうでも良い補足ですが、サラのフォローでスポンジはすり替えられエリスは被害(?)にあってません。
因みにスポンジもシャワーもある文明レベルの世界です。
ところで自分で書いていおいてノアも自分も変態だな……と改めてドン引きしました。